に切り替えるのだと思うが、問題はなぜこのような当たり前のことが40年も当たり前のこととして対策が取られなかったのかということである。一つには、予知が可能であると主張することにより得する人たちがいたからであり、その人たちが社会的に大きな力を持っていたから、予知は不可能だと思っていた人たちの意見が抑え込まれたからである。二つ目は、いつどこで、どんな規模で発生するかわからない地震に対して人命を守る対策は、対処療法的な対策では不可能で、国土のあり方、社会のあり方、私たちの価値観を変える必要があり、そのようなことに取り組もうとすることから、地震対策にかかわる政治家、行政、学者たちが現実を見ないようにし、逃げてきたからである。
想定した予知できる地震対策から想定できない予知不可能な地震対策への転換をするのであれば、これまでの誤った方向をリードしてきた人、わかっていてもやましき沈黙を守ってきた人が、率先して過去の過ちを反省し、過去のしがらみにとらわれず覚悟をもって人命を守る地震対策を進めてほしい。そうでないと、今回の報告書は作文でしかなく、できない理由の羅列で、いつまでたっても検討し、努力を続けるに終わり、救われるべき多くの人命が天災の名のもとで必ず失われていく。